日本人であるという責任【ノブレス・オブリージュ】

ノブレス・オブリージュ
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ノブレス・オブリージュ(noblesse oblige)

ノブレス・オブリージュとは、「高貴なる者に伴う義務」を意味するフランス語で、「権力や社会的地位を持つ者は、相応の責任や義務を負う」ということを指し、欧米社会では基本的な道徳観として知られているようです。

映画スパイダーマンをご覧になった方は「大いなる力には大いなる責任が伴う」というセリフが印象に残っていないでしょうか?

この場合は特殊能力に焦点が当たっていますが、意味は同じです。

日本ではあまり馴染みがないように感じるかもしれませんが、この考え方は日本にも存在しています。

武士道とは武士階級にとってのノブレス・オブリージュである。

新渡戸稲造

これは新渡戸稲造の言葉ですが、確かに「武士道」は、武士という特権階級の行動規範となった教えです。

まさしく日本における「ノブレス・オブリージュ」と言えるでしょう。

そしてその「武士道」は、武士に憧れる一般大衆の間に広まり、いつしか日本人全体としての価値観や道徳として、今を生きる私たちにも受け継がれています。

つまり、私たち日本人は皆、既に「ノブレス・オブリージュ」の意識を持っているということになります。

ちなみに、このブログの検索キーワード第2位が「ノブレス・オブリージュ」です。

それほどたくさんの日本人の興味を惹く言葉ということですね。

日本人のノブレス・オブリージュ

2011年3月11日の東日本大震災や、もちろんその他全ての大災害において、日本人の行動は世界中からの賞賛を集めました。

どんな災害に見舞われても、日本人は常に冷静であり、暴動や略奪が起こらないどころか、避難所や配給などの場面でも、列を作って順番を守り、弱者に対する譲り合いの心まで持っています

その行動は、どこかの偉い人だけではなく、お年寄りからある程度の子供まで、誰もが同じように振る舞います。

この記事を書いている私も、読んでいただいているあなたも、同じく災害に見舞われたら同じように行動するでしょう。

こういう事をいつ教わりましたか?

大きな災害に会うとしたら一生に一度あるかないかの事、元々経験があったという人はほとんどいないでしょう。

誰もが、子供の頃から、周りの大人たちによって教えられてきたものが、未曽有の災害の場面でさえ変わる事がないほどしっかりと根差しているのです。

そしてその教えの根底にあるものが「武士道」ということです。

常に冷静である事は、取り乱したり、略奪や暴動を恥ずかしい事だと考える「名誉」の心です。

順番を守るのは礼節を重んじる「礼」の心と、人を出し抜いたりしない正直さを表す「誠」の心、譲り合いは優しさの「仁」の心です。

そしてそれら全ての心は、正しい事を見失わない「義」と、どんな時でも正しい行動を貫こうとする「勇」によって支えられています。

「武士道」という特権階級の生き方を真似てきたことによって、私たちは、地位や身分などとは関係なく「ただ日本人であるという事に対する責任」でも負っているかのような、世界中どこにもない「ノブレス・オブリージュ」を誰もが貫こうとしているのです。

  • 「義」や「勇」など、「武士道の徳目」については下記の記事をどうぞ。
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美徳に苦しむ日本人

私たちはその高貴な生き方をするために、たくさんの「~ねばならない!」や「~であるべき!」を背負っています。

しかし、「高貴な生き方をしようとしている!」という自覚がないので、それらはただ暗黙の強制力となって、自分自身に重くのしかかってくることがあります。

また、人は自分に課しているものを人にも求めてしまうことが多いため、周りの人にも同じことを求めようとして、お互いに圧力をかけ合ってしまうということもよくあります。

そうした重圧に耐えかねた時、私たちは落ち込んだり、自分を責めたりしてしまうことも少なくありません。

世界中から称賛を受けるような生き方をしていながら、それを誇るどころか、むしろ自分にダメ出ししてしまっている…

今の日本人の多くが、そういう生き方になってしまっているように感じています。

謙虚が行き過ぎて自信を無くし、気遣いが行き過ぎて顔色ばかり伺う。
損得より善悪を優先して金勘定に疎く、協調性を重んじて自分を見失う。

日本人の美徳もそろそろ限界?

私たちにとっての生きるための指針は、あまりに曖昧過ぎるのかもしれません。

自分の生き方を貫く

A子さん

ただ普通にいきてるだけなのに、なんだか息苦しい…

A男さん

なんとなく、生き辛さを感じる…

そう感じたことがある人は、まず今まで頑張ってきた自分を認めてあげてください。

あの武士たちが命をかけて目指してきた生き方を、私たちは無意識のうちに目指してきたんです。

自覚をしないなんて勿体ない。

もっと自分を誇り、もっと自分を褒めてもいいことだと思いますよ。

それだけでも、気持ちが楽になったり、自信が持てる…という人もいるはずです。

それでも重苦しく感じたり、何も誇れないと思う方…

そんなに頑張らなくていいと思います。

今の時代に、別に武士のようにならなくてもいいんです。

ノブレス・オブリージュは、特別な生き方を目指す人たちのためのもの…

普通に、もっと気楽に生きて良いと思います。

そもそも「武士道」自体が、誰が作ったわけでもなければ、教本も何も存在していない曖昧な存在であり、神道や仏教の教えに儒教の教えまでごちゃ混ぜにした、ある意味「何でもありの良いとこ取り!」の教えです。

「理想」はあっても「決まり」なんてありません。

本気で武士のような生き方を目指すのも素晴らしいことだと思いますが、もっと自由に我が道を行く生き方も同じく素晴らしいと思います。

独眼竜

自分の選んだ道こそ自分の武士道だ!

と、自分なりの武士道を作ってしまうのも良いと思います。

私たちはもうずっと頑張ってきたんです。

ちょっと休んだって良いし、ちょっと手を抜いたって良い。

もちろんもっと頑張るのもありです!

大切なことは、人から求められた生き方ではなく、自分が求める生き方を選択することです。

まとめ

私は、心理カウンセラー資格を取った頃とほぼ同時期に武士道を学んだんですが…

武士道目線で見ると心理学が甘過ぎるように感じ、心理カウンセラー目線で見ると武士道が厳し過ぎるように見えて、すごく混乱し、自分の中でどっちつかずになってしまった時期がありました。

結構悩んだ挙句気付いたのが…

平野尚紀

どっちか?じゃなくて、どっちも!で良いんじゃない!?

ということです。

古い教えであるはずの「武士道」が今も受け継がれているのは、そこにそれなりの真理があるからだとは思いますが、今の時代には今の時代に合った要素があって然るべきです。

「武士道」と「心理学」、うまく融合出来たら、最強の「人としての道」ができそうな気がします。

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