【葉隠】注意の仕方

そもそも意見と云ふは、
先づその人の請け容るるか、請け容れぬかの気をよく見分け、
入魂(じっこん)になり、此方の言葉を平素信用せらるる様に仕なし候てより、
さて次第に好きの道などより引き入れ、
云ひ様種々に工夫し、時節を考へ、
或は文通、或は雑談の末などの折に、
我が身の上の悪事を申し出し、云はずして思ひ当たる様にか、
又は先づよき処を褒め立て、気を引き立つ工夫を砕き、
渇く時水を飲む様に請合わせて、疵を直すが意見なり。

葉隠より

そもそも意見と言うものは、まずその人がそれを受け入れられるかどうかをよく見分け、親しくなり、こちらのいう事をいつでも信用するような状態に仕向けることから始め、次第に好きな事の話などから入り、言い方もあれこれ工夫し、時節を考え、あるいは手紙で、あるいは雑談した後に、自分の失敗談を話し出したりして、言わなくても思い当たるようにするか、まずは相手の良いところを褒めて、気分を引き立てるように心を砕いて、喉が渇いたときに水が飲みたくなるように考えさせ、欠点を直していくというのが意見というものである。

目次

今も昔も言い方には気を付けてる?

長文ですが、人に意見をして欠点を正すということに対して、ここまでの心配りを考えています。

「言いにくいことを敢えて言う」ということも一つの優しさですが、耳が痛いような言葉は誰しも聞きたくありません。

届きにくい言葉ではやはり相手を正すということは中々難しく、「心を鬼にして言ってあげたのに聞き入れてもらえなかった…」というところで終わってしまうことが多いものです。

「相手を正す」ということが目的であったはずが、いつの間にか「言いにくいことをどうにか伝えた」ということで自分の目的は終えたという気持ちになっている…

それではただの自己満足にしか過ぎません。

結局のところ、相手が自ら気付かない限りはどうにもならないわけですが、気付かせようと思うのであれば、言いにくいことをズバリということも必要ですが、色んな方法で気づきにつながるように工夫することも大切です。

叱り方や注意の仕方で悩んでいる人はたくさんいると思います。

そういう方法を記した本は現代にもたくさんありますが、「葉隠」が書かれたのはおよそ300年前…

300年経っても、私たちの悩みはあまり変わっていないようです。

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