打ち見たるところに、そのまま、その人々の丈分の威が顕(あら)はるるものなり
葉隠より
威厳のある人とは
威厳のある人とはどういう人でしょうか?
目に見えないオーラのようなものを発しているというか、見ただけで何か感じずにはいられないとか、そんな感じでしょうか?
それ相応の年齢を重ねないと、中々身につかないような気がしますが、その基礎は若いうちから培われるものです。
中身の伴わない若いうちは、文字通りの見た目で勝負するしかありません。
つまりファッションです。
着る物、身に着ける物で自分を演出しますが、中身が伴わないのでやはり薄っぺらな感じがします。
度を超すと逆に軽薄に見られてしまうこともあります。
かといって中身だけ鍛えれば外見はどうでもいいのか!?というと、決してそうも言えません。
武士にとっては見た目も強さのうちでした。
時として見栄を張るということも大切なことです。
強そうとか恐そうとか思われれば、それだけで戦いが有利になることもあります。
派手な甲冑を好むのもそういう考えからです。
逆に名のある者と思われ、敵が殺到すれば、手柄を上げるチャンスにもなります。
中身の伴わないうちは、背伸びをして自分の伸びしろだけでも伸ばしておく…ということも大切かもしれません。
ただし、自分自身に伸びようという気概がなければ、いくら背伸びをしても無駄です。
威厳とは内面の現れです。
年月をかけて自分の中で培われてきたものが、年と共に顔に、所作に現れてくるのです。
「40歳を過ぎれば、誰でも自分の顔に責任を持たなければならない」
というのはリンカーンの言葉ですが、それまでに培ってきた生き様が、いよいよ顔に現れてくるという意味でしょう。
誰でも年を重ねれば衰えていきます。
若い頃のままではいられません。
しかし、それまでに育ててきた自分の内面が、その後の自分を演出してくれるようになるのだと思います。