人は咎むとも咎めじ、人は怒るとも怒らじ、怒りと欲を棄ててこそ常に心は楽しめ
熊沢蕃山
自分自身の在り方次第
生きていれば腹の立つこともたくさんあります。
正直者が馬鹿を見なければならなくなることもあるでしょう。
感情を露わにすれば、命の取り合いに発展しかねない武士たちは、ひたすらに忍耐を重んじました。
確かに忍耐によって争いは回避できますが、肝心の自分の心はどうでしょうか?
「怒りと欲」は、自分自身を縛りつけてしまうでしょう。
でも、人間である以上、どちらも捨て去ることはできません。
「怒りと欲を棄ててこそ常に心は楽しめ」という言葉の意味するところは、他人との円滑なコミュニケーションよりも、むしろ、自分自身の心との向き合い方を言ってるのだと思います。
私たちは他人を変えることができませんが、自分なら変えることができます。
他人からされたこと、言われたことを「どう受け止めるか?」は自分が決めていることです。
悪意に受け止めれば腹も立ちますが、できるだけ善意に解釈するようにすれば、同じ言葉でも全く違って感じられる時もあります。
また、時には受け止めることさえ放棄して、最初から「相手をしない」ということも有りだと思います。
今の時代で言う「スルースキル」というヤツです。
いずれにしても、私たちが人との関係に悩む時、ついつい相手のことばかりを考えてしまいますが、本当に見つめるべきなのは自分の心だということです。
「怒りと欲を棄てる」のは、人との関係をうまくいかせるためというよりも、自分の心が楽になるためということでしょう。