協調と同調
人間関係の悩み
人間関係に疲れていませんか?
いつも人の顔色を伺い、気を遣って、自分を押し殺して、なんてやってたら疲れて当然です。
友人関係はもちろん、仕事上にも多くの人間関係があり、夫婦や親兄弟という家族との関係も全て人間関係ですから、私たちはどこにいっても人間関係の中にいるということになります。
人生で悩むことのほとんどが人間関係の悩みと言っても過言ではないかもしれませんね。
特に「和」を重んじる日本人の人間関係は、複雑で厄介です。
「うまくやろうと頑張ってるのに、どうしてもうまくいかない!」
そんな悩みを抱えてる人は、同じやり方を繰り返しても、これからもずっとうまくいかない可能性があります。
一度ちょっと視点を変えて、「和して同ぜず」という考え方にフォーカスしてみてください。
和して同ぜず
子曰く、君子は和して同ぜず、小人は同じて和せず
論語「子路」
かみ砕くと、「立派な人は周りと協調し親しくするが、主体性を失わず、むやみに同調はしない、つまらない人は、主体性なく簡単に同調はするが、協調できず、心から親しくなれない」という意味になります。
子=孔子、つまり儒教の教えですが、武士道は、神道、仏教、儒教などの良いとこどり思想であり、儒教からもかなり強い影響を受けています。
「忠義」を重んじて協調を保ちながらも、修業や戦いとなれば、自分こそが一番だ!というサムライ達が目指した境地は、正にこの「和して同ぜず」の心だったと思います。
そしてその心はそのまま私達にも受け継がれてるはずですが、中々簡単ではないようです。
「和」が重すぎる日本人
和を重んじるのは日本人にとっての美徳です。
そこから生まれてくる連帯感こそ、災害時に世界中から称賛されるような行動にもつながっていきます。
しかしその反面、小さな島国だからこその「島国根性」か、村社会ならではの「村意識」かは分かりませんが、「和」だけが重視されてしまう事が少なくありません。
「皆と同じであれば心強い」という気持ちが、思い余って「皆と同じでなければならない」となる。
それが更に「同じでないと許さない!」となると、自粛警察のような行動へ発展していきます。
そこまで行ってしまうのはごく一部の人に限られますが、多くの場合私たちは「同じて和せず」になってしまっているんだと思います。
つまり、「君子」ではなく「小人」の生き方になってしまってるわけです。
人と同じであろうと頑張ったことで、結局本当には分かり合えないなんて、確かにつまらないと思いませんか?
では「和して同ぜず」になるためには、どうしたらいいのでしょうか?
「自己主張」と「我を通す」
日本人は「自己主張」が苦手です。
その理由はいくつかありますが、「自己主張をすると、自分勝手とか協調性がないと思われるんじゃないか?」
そういう感覚を持っている人が多い傾向があります。
恐らくこれは「自己主張」と「我を通す」ことの区別がついていないことが原因だと思われます。
「自己主張」とは、自分の意見を主張すること、自分の考えのアピールです。
対して、自分の考えを曲げず、他人の意見を聞き入れずに押し通そうとすることが「我を通す」になります。
こうして見ると明らかな違いがありますが、自己主張をすることがそのまま我を通すことだと思ってしまっているため、自己主張を良いことだと思えないのです。
他に、日本人独特の「言わなくても分かるはず」の感覚が影響している部分もあります。
日本人は、どうしても言いたいことがあっても、直接は言わず、言葉を選びまくって、言い回しを工夫し、遠回しに伝えようとしたりします。
それが日本語の多様な表現の美しさを生み出してる部分があるのも事実ですが、相手との関係性によっては、言いたかったはずのことが全く伝わらないまま終わってしまいます。
相手の読解力に依存してコミュニケーションを取ろうとしているという、実はものすごく難易度の高い事をやろうとしているわけです。
それでうまくいくならすごい事ですが、SNSを含めて、多様な人間関係が存在する今の時代では、相当無理があると言えるでしょう。
結局のところ、自分の思いを伝えるためには、自己主張をすることが一番の近道になるのです。
言えば伝わる日本人
自分の意見や思いを、思い切って伝えてみてください。
最初は勇気がいるでしょう。
もちろん、言い方や言葉選びに気を付ける必要はありますが、ずっと周りに気を遣って自分の気持ちを押し殺してきた人が、いきなり上から目線になったり横柄になったりはできないでしょうから、あまり細かい事は気にしなくて構いません。
胸を張れなくても、小声でも遠慮がちでもいいんです。
まずは主張してみることです。
知らず知らず「言わなくても分かる」を目指してしまう日本人だからこそ、「言えばもっと伝わる」という事に気付くはずです。
むしろ、その思いを受け止める側も、言ってくれた方が分かり易いだけじゃなく、本音を言ってもらえて嬉しかったりもします。
もしかしたら、そのことがきっかけで関係が壊れてしまう人がいるかもしれませんが、本音を出す事で壊れてしまう関係ならば、それは最初からムリがあるということ、むしろ壊れて良かった関係だと思えばいいんです。
本当に必要な人であれば、またいつか必ずご縁が紡がれます。
本当の気持ちを出すからこそ、本当の繋がりが生まれる。
それが「和して同ぜず」という事です。
対人関係で大切なこと
ここまで読んでいただいて、既に気付いた人もいるかと思います。
対人関係で最も優先して気を付けたいことは、誰よりもまず自分との関係にあります。
そもそも自分が自分の考えや気持ちを理解できているのかどうか?
そこができていないと、何かを主張することもできません。
実は、自己主張できる人ほど、他人の意見にも寛容に耳を傾ける傾向があります。
自分の考えがあるからこそ、他の人の考えも知りたいと思うし、きちんと尊重する事ができるようになるからです。
自分ときちんと向き合う事が、周りの人達と向き合う事に繋がっていきます。
日本人だからこそ「和」を大切にしたい!
そのためにも、自分の考えを持ち、発信していきましょう!
必ず伝わります!