損得勘定
真田幸村という名を聞いたことがないという人はまずいないと思いますが、その真田家の旗印と言えば「六文銭」。
これは三途の川の渡し賃を意味している…ということをご存知の方も多いでしょう。
戦場にお金を持っていくことなど本来無意味なことですが、だからこそこの「六文銭」は、より一層真田家の覚悟が伝わる「粋」な紋に感じられる気がします。
損得を考えないというのが武士道第一の【義】の心です。
だからこそ武士たちは、お金にはあまり価値を見出そうとはしませんでした。
損得で考えれば「死ぬ=損」ということになり、臆病な気持ちが芽生えることを嫌う意味もあったのだと思います。
今は損得が大切な時代です。
得をしたいかどうかはともかくとして、少なくとも誰もが損はしたくないでしょう。
ただその感覚が行き過ぎたのか…
「得をしなかった=損」という考え方になりつつあるように感じることがあります。
例えば、何かしら商品を購入するとき。
どうせ買うのであれば少しでも安く買いたいと思うのは当然の心理ですが、買った後にもっと安いところがあったと知ってしまうと、何だか損をしたような気になる…
こんな経験のある方も少なくないでしょう。
しかし、そもそも定価のあるものを定価以内で手に入れたのであれば、決して損はしていません。
ただ得をしなかっただけです。
にも関わらず、何か損をしたような気になってしまう…
また、販売する側も安さを競うようになり、「サービス=価格」のようになってしまっているような状況も目にします。
武士道の【義】は「損得を考えない」という意味の根底に「正しい行いをする」という意味があります。
それは「損得で物を考えると正しい判断ができない」という意味でもあります。
私たちの生活には、損得勘定抜きには成り立たない部分があります。
つまり正しい判断がしにくい環境に身を置いているということになるでしょう。
だからこそ、もし損か得か!?で迷うことがあれば、そもそも何が損で何が得なのかをまず「正しく判断」したいものです。
お金は大切で欠かせないものですが、あの世まで持っていけるものではないのです。