同じ人間に生まれたのだ。誰に劣るなどあるはずがない。
葉隠より
全て修行は大高慢に自分以上の者はいないのだと思いあがるほどでなければ、
役には立たない。
自分は一人でお家を守るぞとかからなければ、
修行してもものにならないだろう。
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内なる炎を燃やす
奥ゆかしく控え目なのが日本人です。
それは昔も今も変わらない日本人らしさだと思いますが、この言葉にはそれとは真逆の“熱”のようなものを感じます。
人前では寡黙を貫きながらも、たった一人の修行においては、燃え上がるような意気込みで取り組んでいたのでしょう。
「自分以上の者などいない」という感覚は、人前に立つ人や、人の上に立つ人にとって、不可欠な「心構え」だと思います。
本当に、それだけの力があるかどうかではなく、そのように「なる」つもりがないのであれば、そういった役割は果たせないのではないでしょうか。
こういった「自信過剰」や「うぬぼれ」、「思い上がり」という感覚を日本人は特に嫌う傾向があると思います。
しかしそれはあくまでも、人前でのことです。
自分がたった一人で取り組む「努力」の中においては、このくらいの意気込みがないと身にならないのではないでしょうか。
水面では優雅に浮かび、進みながらも、水中では激しく水をかく水鳥のごとく…というのは剣の道の極意でもあります。
人前では「礼」や「和」を大切にしながらも、一人きりの「努力」まで控え目になってしまわないよう、大いに思い上がっていきたいものです。