人は城、人は石垣、人は堀、情けは味方、仇は敵なり
武田信玄
組織の在り方として
メジャーな言葉ですが、後半部分を知らない人は意外にいるのかもしれませんね。
勝敗を決するのは城でも石垣でもなく、人である。
情をかければ人は集まり、恨みを抱けば人は去っていく…
要約すると、こんな意味になるかと思います。
「軍神」上杉謙信は、決して多くない軍勢で、大軍を打ち破り続けました。
目の行き届く範囲を心得、組織というものを熟知していたのだろうと思います。
そのライバルである武田信玄もまた、組織というものをよく理解していたということがこの言葉で分かる気がします。
つまるところは「人」。
戦における軍勢という組織だけに限らず、企業も同様です。
「何人でやるのか!?」という「規模」も決して無視できない要因ですが、「誰がやるのか!?」ということは、規模よりもっと根本的に重要なことです。
人材の育成や登用は、企業にとって永遠の課題と言えるのではないでしょうか。
トップセールスマンを管理職にしてみたけれど、全くうまくいかなかった…
というような例はよく聞く話です。
個人の業績を上げる能力と、人を管理する能力とは別物です。
しかし、仮にそれが分かっていたとしても、トップセールスマンを飛び越して管理職に抜擢するということも難しい部分があるのでしょう。
「業績を上げたからと言って、出世できるわけではない」という前例を作ってしまうと、では何を目指せばいいのかがよく分からなくなってしまいます。
目的を見失えば、やる気も失われます。
大勢のやる気を削ぐような人事は中々実現できません。
業績という数字を尺度にしてしまうと、必ずこうなってしまいます。
数字というものは、曖昧さがなく、誰もが最も見やすく分かり易い尺度です。
つまり「分かり易さ」を重視した評価制度ということであり、安易な考えとも言えるのではないでしょうか。
そもそも「企業は人なり」というほど、人材が第一でありながら、その人を数字で測るということ自体がおかしいような気がします。
人間性や人となりと言った部分は、数字では決して測れません。
本当に人が重要なのであれば、その「人」をとことん見極めていく必要があるでしょう。
ただ、人を判断するのもまた人です。
そこにはその人の主観が必ず存在します。
そこに共通の尺度を設けるということは相当困難なことでしょう。
しかし、そういった困難を無視したままでは、これからの時代を生き残る強い組織を作ることはできないように感じています。