発言し実行する力
「言う」を「成す」と書いて「誠」。
文字通り「有言実行」、だからこその正直さや誠実さを表す教えです。
「武士に二言なし」と言われるように、武士道の徳目の中でも、いかにもサムライらしい誇り高さを感じさせます。
反面、言った以上は死んでもやらなきゃならない!という脅迫観念を生み出してしまう過酷な考え方でもあるため、安易な事を口走らないよう、寡黙であることを美徳とするような考え方にもつながっていきます。
しかし現代では、むしろ何度も明確に発言したほうが実現する!と考える一つのスキルがあります。
それが「アファメーション」です。
アファメーションとは
本来、有言実行と言えば、「絶対にやる!」と発言をすることで、自らを追い込み、実現に近づけていく…という感覚だと思います。
見てる分にはカッコいいですが、当事者からするとかなりの重圧がかかります。
サムライ達は更にそこに命までかけようとしたわけですから、無口になりたくなるのも分かります。
それに対し、アファメーションはちょっとニュアンスが違います。
「affirmation」は「肯定、断言、確約」などを意味する英語で、潜在意識を書き換えてなりたい自分になるための技法として、「肯定的な自己宣言」と呼ばれたりもします。
簡単に言うと、自分に何度も語りかけ自己暗示にかけて思い込ませることで、成功に導くという感覚が分かり易いかと思います。
自己暗示というと胡散臭く感じたり、本当に効果があるのか?と疑う人もいるかと思いますが、恐らくほとんどの人が既に経験しています。
「きっとできないだろう」など、否定的な言葉を繰り返し、本当にできてないという経験です。
実力がないからできてないだけ、と色んな理由を後からくっつけてるかと思いますが、「きっとできないだろう」と思いながら取り組む事で、できないものとして自分に認識させています。
つまりこの逆、自分に肯定的に思い込ませる事ができれば、それは実現できる・・・という事です。
屁理屈に聞こえるかな?(笑)
もしあなたが、なりたい自分や叶えたい夢があるのなら、知っておいて損はないスキルだと思いますよ。
アファメーションの効果
私達は、1日で4万~8万回とも言われるほどのセルフトークをしていると言われていますが、その言葉によって、自分自身のセルフイメージを作り上げています。
もちろん無意識のため、通常その内容を選ぶことはなく、ネガティブなものがたくさんあります。
ネガティブと聞くと落ち込む事みたいなイメージを持つ人が多いですが、決してそうではなく、本来は危険を回避するための思考です。
そのため特に意識をしない限り、私達の思考は、安全を優先してネガティブに向かっていくのが普通です。
何かにチャレンジするという事は失敗するリスクが生まれるという事でもあります。
できるだけ何もしなければ安全でいられるため、良くも悪くも変化を避け、無意識のうちに現状を維持しようとしています。
この無意識なセルフトークに、意識的にポジティブ(肯定的)な言葉を刷り込んでいくことでセルフイメージを上げて行こうとするのが、アファメーションです。
セルフイメージが変われば、自然と行動が変わり始めます。
「どうせできないだろう」と思いながらの行動と、「絶対できる!」と思いながらの行動はは明らかに違うはずです。
成功へと向かうセルフイメージができあがれば、成功へ向かう行動をするようになります。
アファメーションのやり方
アファメーションは、脳科学や心理学の世界で根拠のあるスキルですから、きちんとした手順があります。
ただ頭に浮かんだ言葉を繰り返して自分に信じ込ませようとしても、つい無意識のうちにネガティブな思考が混ざってきてしまうため、しっかり効果を得るためには、あらかじめ言葉を選んだ文章を作っておく必要があります。
その際に気をつけるべきことを説明します。
主語は必ず自分にする
私達が変えられるのは自分だけ、他人を変えることは不可能です。
「私は」、「俺は」などいつも使っている言葉で、主語は必ず自分でなければ意味がありません。
ただ、自分が変われば周りの人への接し方も変わり、その結果相手の反応が変わってくるという間接的な効果はあります。
肯定的な言葉だけを使う
必ず肯定的な言葉を使うのは、意外とコツがいります。
例え自分の願望であったとしても「私は貧乏にはなりたくない」というような言葉は、「なりたくない」という否定語だけでなく、「貧乏」という否定的な対象も含まれてしまっています。
潜在意識は、肯定や否定の区別がつかず、言葉そのままを受け止めてしまうため、この場合「貧乏」を引き寄せてしまう事になります。
現在進行形にする
では「私は金持ちになりたい!」なら良いかというと、「なりたい!」と思う事は「なれてない」と自覚をする事であり、現状を否定している事になります。
ここでは「私は金持ちになっている!」と断言をしましょう。
恐らくこの辺りの、現実とのギャップが気になってしまう人は少なくないと思いますが、目的は現実を思い知らせることではなく、望むべき未来を現実だと思い込ませる事です。
よりリアルに、臨場感をもたせる事が重要です。
感情まで先取りする
より臨場感を感じるために、感情も込めるようにしましょう。
「私は金持ちになって、毎日が楽しい!」
というように、既に達成した自分をイメージし、楽しい気持ちを感じてみます。
そうする事で、言葉だけではなく、より強く潜在意識に刷り込まれる事になります。
自分の言葉でシンプルに
形式ばった事をしようとすると、ついよそ行きの言葉を使ったりしてしまいますが、それでは臨場感が薄れてしまいます。
普段自分が使ってる言葉を使いましょう。
また、長文など、複雑にしてしまうと、自分が混乱するだけです。
複数の望みがあるなら、一つにまとめるのではなく、一つずつ簡単な一文を作りましょう。
回数の問題ではない
自分に信じ込ませるとなれば、それなりに回数を重ねる必要があります。
ただそれは、1日に何回唱えればいいか?という意味ではなく、1ヶ月なのか半年なのか、ある程度継続的に続けるという意味での話です。
1日の中で言うならば、回数よりも、言葉や感情、臨場感をしっかりと感じる事のほうが大切です。
そのためにも、文章を作る段階こそ重要という事になります。
「言う」からこそ「成る」言葉の力
叶えたい夢や、成りたい自分があるなら、言葉に出す事がすごく重要です。
言葉にすることで、まず何よりも自分自身に明確に意識させることができます。
周りの人に話せば、応援してくれるだけではなく、情報をくれたり手助けしてくれたりする事もあります。
「なりたい!」という強い思いは、前に進む力になります。
ただしそれは「なれてない」という自覚でもあるため、力に転換できているうちは強いものの、崩れ始めると自信喪失などにつながる事もあります。
また「人に言ってしまった以上できなかったら恥ずかしい」という気持ちになると、自分を追い込み、苦しめてしまう可能性もあります。
そういう時こそアファメーションです。
何かにチャレンジする場面で「自分ならできる!」と言い聞かせた経験はありませんか?
当然、ある日突然言い聞かせただけで大きな効果は期待できませんが、ほんのちょっとの勇気が湧いてくるという程度なら感じる事ができるはずです。
自らの発言に命までかけたサムライ達も、きっと心の中で「自分ならできる!」と何度も言い聞かせていたのかもしれません。
彼らはそれを強靭な精神力で自分に信じ込ませていたのかもしれませんが、今を生きる私たちはスキルを活用することで有言実行を実現できます。
「言う」を「成す」時代から、「言う」からこそ「成る」時代へ。
自分自身の持つ言葉の力を信じて、有効に活用しましょう。
まとめ
「アファメーション」は、鏡に向かって声に出してやるとかなり効果的ですが、そういう状況が作れない場合は、紙に書くという方法でもそれなりの効果があります。
「アファメーション」で検索すると、かなり詳細に解説してくれてるブログなどが沢山出てきますので、興味をもたれた方は是非調べて見てください。